約 993,496 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4202.html
『お帽子さん、外れてね』 12KB 愛で ギャグ 不運 飾り 飼いゆ 失礼します ※ 誤字脱字があったので、タイトル含めて少し修正しました。 チートあきです。 ゆっくりーなースプレー。 飼いゆっくり用のお飾りクリーナーである。適量をお飾りに吹き付け、付属のブラシで丁 寧に磨くと、見違えるようにきれいになる。お飾りの自己回復機能を利用しているらしい が、詳細は企業秘密らしい。汚れ防止効果もある。天然成分由来でありゆっくりが舐め ても問題ない。加工所の新製品。一本980円。 「どうだ、まりさ」 男はゆっくりーなーで磨いた帽子を見せた。 まりさ種の三角帽子。リボンの着いている位置は右前で、左斜め前にある小さな切れ 目がチャームポイントらしい。 「ゆわーい。まりさのおぼうし、ぴっかぴかなのぜー!」 お下げを動かしまりさが幸せそうに笑う。 座布団に座った男と、その隣で目を輝かせている飼いまりさ。 加工所名物よくわからないオーバースペックのおかげか、お帽子は人間の目から見て もぴかぴかになっていた。喩えるなら使い込まれた木綿製から新品の絹製へと。 男は磨き終わった帽子を自分の頭に乗せた。白い歯を見せ斜めに構える。 「どうだ?」 「おにいさん、かっこいいのぜ」 帽子を乗せた飼い主を見上げ、まりさが感想を言う。 「まりさもかぶりたいのぜ」 「よしよし」 満足げに頷いて、男は帽子を脱いで。 脱いで。 脱いで。 「……ん? あれ?」 眉を寄せる。 帽子は変わらず頭に乗ったままだった。 「どうしたのぜ?」 「んー? どうして? 取れないぞ……。何でだ? あれ……」 不思議そうな顔をするまりさに、男は眉を寄せて答える。両手で帽子を引っ張るが、頭 から離れない。接着剤や留め具でくっついているわけではない。それなのに、帽子が外 れない。帽子を引っ張ると髪の毛と頭皮が一緒に引っ張られていた。 「……おにいさん、なにしてるのぜ?」 あくまで笑顔のまままりさが訊いてくる。 しかし、その場の空気は音もなく硬くなっていく。 帽子の縁に指を差し込み、男は答えた。 「帽子が取れない」 「ゆーん?」 まりさの頬を冷や汗が一筋流れる。 しかし笑顔は崩さず、お下げを動かしながら、やや硬い仕草でのーびのーび。 「そーんなはずないんだぜ。なにいってるのぜ。おぼうしがぬげないなんて、そんなわけ ないんだぜ。じょうだんはやめるのぜ……じょうだんはやめてほしいのぜ……?」 少し声が震えていた。 男は座ったまま前屈みになり、まりさの前に帽子を差し出した。 「いや、マジ。引っ張ってみろ」 帽子の先端を咥え、まりさがずりずりと後ろに下がる。 「ゆーしょ、ゆーしょ……」 が、帽子は脱げない。 その事実を否定するように、まりさは帽子を取ろうと必死に後ろに下がっていた。帽子 が千切れないほどの力に押えつつも、粘り強く後ろに下がった。 一分ほど頑張ってから、 「どぼじでどれないのおおおお!」 悲鳴を上げた。 「ゆーくりーなーにそんな副作用はない。当たり前だけど」 スプレーの箱に入っていた取り扱い説明書を広げ、隅から隅まで目を通す。A4用紙を 四つ折りにしたもので、書かれてる内容は普通だった。当たり前だが、ゆーくりーなーを 付けた帽子が、人間の頭にくっつくという注意は書かれていない。 「おぼうし、まりさのかっこいいおぼうし……」 涙を滲ませ、まりさが男の頭を見つめている。 「しかたない……」 男はその場に立ち上がった。 部屋の隅に置いてあった透明な箱に歩いていく。成体ゆ一匹サイズ。何のために購入 したかは覚えていないが、今はまりさ用の道具箱になっている。ゆっくりフードやオレン ジ湿布、防カビ剤などが入っていた。 透明な箱から紙箱をひとつ取り出し、中身を広げる。 「とりあえず、外れるまでこれかぶってろ」 木綿製のお帽子だった。布製お飾り1980円。お飾りを失ったゆっくり用の製品である。 予備のお飾りが主な使い方だが、普通の帽子よりも頑丈な事を生かし、作業帽子に使 うゆっくりもいるらしい。 「なんか、いわかんすごいのぜ……」 頭に乗せられたシワ付三角帽子に、まりさが悲しげな顔をする。 男は改めて、帽子を引っ張った。 「どうしたもんかなぁ」 「ゆん……、ゆん……」 まりさは不安げに呻いている。 男は大きく吐息してから、部屋を見つめ。 「これか……」 机の上に置いてあるエンピツ立てに目を留めた。 シャーペンや定規などと一緒に立てられている、黒いハサミ。刃の部分をフッ素コート したもので、錆びにくく汚れにくいという特性を持つ。切れ味は、多分普通。それでも、ま りさの帽子を切るのには十分だ。 「ゆんやあああ!」 悲鳴を上げるまりさ。男の思いつきをすぐさま理解した。 走るように床を跳ね、まりさは机の前に立ちはだかる。人間相手に効果はないが、 それでも全力の抵抗である。両目から涙をこぼし、お下げを横に伸ばしていた。 「それはだめええっ! ぜったいにだめええっ! おにいさんっ、やめてね! まりさの おぼうしさんきらないでね! はさみさんはゆっくりできないよおおお!」 「わかってるよ。でも、明日の夜まで取れなかったら諦めろ。オレも仕事あるから」 カレンダーを見ながら、男は告げる。 今日は土曜日の夜。明日は日曜日。明後日は月曜日で仕事だ。まりさ帽子かぶって 仕事にはいけないので、最悪帽子は切断して外す。さすがに切れば離れるだろう。 「帽子切った時は生帽子買ってやる。それで我慢してくれ」 加工所製の生帽子。加工所独自のお飾り培養技術によって作られる人工お飾り。飼 いゆっくりがお飾りを紛失した時に使われるものだ。付けた相手に合わせて少しづつ変 化し、一週間ほどで完全に持ち主に馴染む。 基本種の場合だと5000円前後。希少種だと高いものは5万円以上するらしい。 「ゆぅぅぅ」 唇を噛み締め、鼻の辺りを赤くし、まりさは涙を流した。 飼いゆっくりであるため、飼い主の仕事の大事さはよく理解している。そこまでわがま まを通せないことは、まりさも分かっていた。 「はなれてね。まりさのおぼうしさん、おにいさんのあたまからはなれてね……。きられる のはゆっくりできないよ……」 布帽子を頭に乗せ、まりさが涙目で男の頭を見つめている。 普段の「~だぜ」口調が抜けていた。 「しっかし、何でだ。何で取れないんだぁ? これ、まりさの帽子だろ。まりさが脱げない なら分かるけど、なんで人間のオレが脱げないんだ? ぴったりフィット?」 帽子と髪の毛の隙間に指は入る。だが、それだけだ。差し込んだ指を動かして帽子を 外すことはできない、まりさの帽子は頑なに男の頭にくっついていた。 「おぼうしさん、まりさのかっこいいおぼうしさん……」 まりさは弱々しく泣いている。 午後十一時。ネットで情報検索。 「まりさの帽子が外れなくなった……。んな話あるわけないよなー」 解決手段が見つからない。 そもそも、まりさの帽子が頭にくっついたという話も見つからないのだ。事故で頭に嵌 ったとか、接着剤でくっついたとかはある。半ばネタとして書かれているので真偽の程は 不明だが。乗せたら外れなくなったという話はどこを調べても出てこない。 「どうなってるんだろうな、これ?」 まりさ帽子を撫でながら、自問する。 もしかしたら、日本で初めての出来事かもしれない。嬉しくない考えが浮かぶ。 ゆっくりーなーの発売元である加工所には、問い合わせの電話とメールを送った。 頭にくっついた帽子を撫で、男は部屋の隅を見た。 「ゆーん……ゆーん……」 まりさは眠っていた。まりさはいつも八時くらに寝てしまう。 丸いバスケットにタオルを敷いた寝床。手作り寝床としては、普通のものだ。そこに丸く なって、まりさは眠っていた。頭に乗せているのは布製帽子。しかし、安眠という雰囲気 ではない。寝顔は苦しそうだった。 「いがないで……おぼうじざん、いがないで……」 そんな寝言とともに、もぞもぞと足を動かす。 悪い夢を見ているようだ。 翌朝。 「ふあ」 男は頭を動かし、その重さに眉を寄せた。 寝起きで思考が濁っていた頭が、昨日の出来事を大雑把に復習する。興味本位でま りさの帽子をかぶったら取れなくなった。外れないので帽子を付けたままベッドで眠って しまった。そのせいか妙に節々が重い。 「ゆっ。おぼうしさん……おぼうしさんおぼうしさん――」 「!」 まりさの声がすぐ近くから聞こえた。 普段寝ている寝床に目を向けるが、そちらにはいない、 起き上がろうと上体を起こすが、その動きは途中で止められた。 動きが止まる。呼吸も止まる、思考も止まる。 「まりさはまりさだよ。ゆっくりしていってね。おぼうしさんのいばしょは、まりさのあたまの うえだよ。ゆっくりりかいしてね。おぼうじざん、はなれてね。おにいさんのあだまがらは なれてね」 いつの間にか男の枕元に移動していたまりさ。 どこか壊れた目付きで帽子の先を咥えている。血走った目と痩けた頬、ぼさぼさに跳ね た黄色い髪の毛。荒い呼吸に目の下の隈、全身から立ち上る飢えた獣のような気迫。帽 子の先を咥えたまま涙を流している。 それはゆっくりではない。何か異質なモノに見えた。 「おぼうし、おぼうし、まりざのおぼうしぃ」 「っ。ぎゃああああ!」 男はまりさの顔面を掴み、力任せに投げ捨てた。 べちゃ。 壁にぶつかり、床に落ちるまりさ。帽子を噛み千切ったかとも思ったが、男が引っ張っ た時に帽子から口を放していたらしい。 「力入れすぎたか……?」 ともあれ、投げた方がやばいと思うほど、腕に力がこもっていた。 壁には餡子がべったりと張り付いている。 「……だいじょぶか?」 「まりさはへいきだよ、もんだいないよ?」 口から餡子を垂らしながら、まりさは平然と答えた。目の焦点はあっていない。意識こ こに在らずといった雰囲気で、今度は喋るオモチャのようになっている。極度のストレス で痛覚も上手く働いていないのかもしれない。 「なんとかしないとな」 よれよれになった帽子の縁を撫で、男はそう決意を新たにした。 昼頃。 「ゆへっ、ゆへへへへ」 突然、まりさがゲスい笑みを浮かべた。 男はパソコンモニタから一時目を離し、まりさを見る。 「まりさいいことおもいついちゃったのぜ! これはめいあんなのぜ」 血走った目、引きつった笑顔、窶れた顔。口元から薄く涎が流れ落ちている。時折、小 さく身体が痙攣していた。餡子脳内のネジが一本か二本、抜けてしまったのだろう。お帽 子のないストレスによる暴走だった。 口にハサミを咥え、まりさがぴょんぴょんと近付いてくる。 「おにいさんのかみのけさんを、このはさみでちょーきちょーきすれば、まりさのおぼうしは はずれるのぜ! これは、せいきのだいはつめいなのぜ! さあ、おにいさん。かみのけ をだすのぜええ! まりさがちょーきちょー――」 お帽子の左前。 男はまりさのチャームポイントに手を掛ける。チャームポイントと言っているが、実際は ツバの半ばまで入った切れ目だった。つまり弱点であえる。そこに思い切り力を込めて 引っ張れば、帽子は容易に裂けてしまう。 「ゆっ!」 まりさの口からはさみが落ちた。 一緒に、頭に登っていた血も一気に落ちる。ゆっくりに血はないが。 「ゆあああああ! ごべんなざいいいい!」 両目から滝のような涙を流し、まりさが土下座する。 「まりざ、ちょうしにのっでばじだあああ! だがらおぼうじ、ぢぎらないでええ!」 べたべたと連続土下座をするまりさに。 満足げに男は帽子から手を放した。 夕方頃、加工所から回答メールが返ってきた。 頭に帽子がくっついた理由は、帽子と男の頭の相性が偶然にも合ってしまったからで、 ゆっくりーなーの影響ではない。そして、帽子の外し方だが。 「お帽子の脱ぎ方。パンを尻にはさみ、右手の指を鼻の穴に入れ、左手でボクシングを しながら『いのちをだいじに』と叫ぶ」 男は書かれていた帽子の外し方を読み上げた。 「わけがわからないのぜ」 床から男を見上げ、まりさは半眼で呟く。 「どれはこっちのせりふだ」 「とりあえずやってみるのぜ」 八畳のアパート。フローリングの床の上で、男とまりさは向かい合っていた。 男は冷蔵庫から取り出した食パンを一枚尻にはさんでいる。右手の人差し指はしっか りと鼻の穴に突っ込まれていた。端から見れば意味不明な恰好だろう。グローブを付け た左手で空フックを繰り出しながら、朗々と叫ぶ。 「いのちをだいじにい!」 ………。 重い沈黙。 まりさが無言で目を逸らす。 「取れるかー!」 べし。 男は帽子を床に叩き付けた。 一緒に落ちる食パン。 そして、男は帽子を拾い上げ、ぱたぱたと埃を払ってから、再び頭に乗せた。念のため 引っ張ってみるが、やはり離れない。ぴったりと頭にくっついている。 男は腕組みをして、頷く。 「さて、まりさ。コツは大体分かった。なんか面白い事やってみろ」 「………。わかったのぜ」 呆れたような顔で、まりさは頷いた。 しかし、すぐには考えが浮かばない。面白い事というのは、考えて浮かぶものではな いのだ。それでも、ゆんゆんと餡子脳を捻って考える。 まりさが小さくジャンプをした。その場で時計回りに一回転し、 「ゆっくりんぱ!」 男に流し目を送りつつ、斜めに構えたポーズ。 「………」 右手で口元を押え、男は目を逸らした。瞳に映る哀れみの光。 泣きながら、まりさはのーびのーびする。 「やめてね! そういうかおは、マヂでやめてね! すっごいきずつくよ! まりさのがら すのはーとが、ぶろーくんふぁんだむだよ!」 男はこほんと咳払いをして。 「よし、次」 「ゆっくりやるよ」 まりさは目を閉じ、眉間にしわを寄せ、餡子脳をこねる。どうすれば飼い主のかぶった 帽子が外せるか。そのためには、まりさは何でもするつもりだった。 しかし、このようなネタを考えるのは、苦手である。 というか。 「どぼじでおぼうしまだがぶっちゃうのおおお!?」 「言うのが遅いぃ!」 べし。 男は再び帽子を床に叩き付けた。 それを拾い直すよりも速く。 「ゆぅぅぅ!」 泣きながら全力疾走したまりさが、帽子を咥えて窓辺まで避難した。まるで小動物の 狩りのように帽子に飛びつき、帽子を咥えて離れる。 男が手を伸ばしても届かない距離まで移動したまりさ。 「おぼうしさん、まりさのおぼうしさん! もどってきたよ!」 感激の涙を流しながら、よれよれになった帽子をぺろぺろと舐めたり、すりすりと頬摺り したりしている。ともすれば、永遠のお別れになるかもしれなかった帽子。それが無事に 戻ってきたのだ。感激もひとしだろう。 「ゆーん、ゆん」 感動の涙とともに、再会の時間を噛み締めるまりさ。 男は近くに落ちていた布製のまりさ帽子を掴み、 「これで一件落着ってわけか」 どこか寂しげな笑みを浮かべ、布製帽子を頭に乗せた。 過去SS anko4147 ぐんまりさ迷子になる anko4144 いたさなえ anko4128 ちぇん CV:若本規夫 anko4109 ゆっくり・ボール・ラン 2nd STAGE anko4108 ぱちゅりーの居場所 anko4104 続・どMとどS anko4090 BGM 天国と地獄 anko4086 HENTAI ありす 以下略
https://w.atwiki.jp/pgitem/pages/668.html
青 黒 茶 灰 赤 青 青 黄 緑 緑黄 (緑+黄) 紫 紫 ピンク オレンジ 分類 帽子 主材料 フェルト×2 副材料 魔法の火種×1 備考 魔術見習いの称号、染料×1 フェルト
https://w.atwiki.jp/sm83/pages/266.html
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/809.html
年賀イベントで茶店娘から貰える。 性能は茶店娘に話し掛ける前に装備していた 頭装備とまったく同じ性能になる(ただし補正は冠扱いのため、妖術耐性−10、物理耐性−10に固定となり、元の装備とは異なる値になる)。 12月28日のメンテナンスと同時に消える。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1237.html
「帽子なんかいらない」 「ゆ!…ゆっくりしていってね!!!」 よく晴れた、秋の日の朝。ゆっくり一家の朝は、恒例の挨拶で始まる。 小さいゆっくりから順番に目覚め、「ゆっくりしていってね!!!」と元気な挨拶を交わす。 最後に母まりさが目覚めると、総勢15匹の子まりさが一斉に母に向かって声を張り上げた。 「「「「おかーさん!!ゆっくりしていってね!!!」」」」 下膨れの生首が15個、母まりさの方向を向いて大きな口を開ける。 母まりさは、生まれつきのふてくされたような顔を笑顔に変えて、元気に挨拶を返した。 「みんな!!きょうもゆっくりしようね!!!」 いつもどおりの朝。幸せな朝。まりさ一家は顔を見合わせてニッコリ笑った。 朝の挨拶を済ませた一家は、貯蔵庫にあったご飯を皆で仲良く食べ始める。 草原で取ってきたお花や、うねうね動く芋虫。全部、子まりさたちの大好物だ。 「むーしゃむーしゃ♪しあわしぇ~♪」 「ゆゆぅ~♪とってもゆっくりできるごちそうだよ!!」 そうして一家は食事を終えると、一家揃って狩りに出かけることにした。 ぴょんぴょんと、16匹が順番に巣穴から外へ飛び出していく。 「ゆっ!!みんなでごはんをとりにいこうね!!!」 「ゆゆっ!!まりさがいちばんおおくとるよ!!」 「ゆっ!?まりさだよ!!!まりさがいちばんおおいよ!!」 母まりさを先頭に、列を成して餌場へと向かう。 狩りの方法を教えてもらったばかりの子まりさたちは、まだまだ取れる食料は少ない。 それでも、狩りが面白くて仕方ない年頃なのだ。 餌場につくと、そこでは既に別の一家が食べ物を集めていた。 その一家の成体れいむが友達のれいむだと気づくと、母まりさはぽんぽん跳ね寄って声をかける。 「ゆっ!!れいむ!!きょうもゆっくりしているね!!」 「ゆゆ?まりさ!!いっしょにゆっくりしようね!!」 この2つの家族は餌場を共有しているが、食べ物の取り合いになることは一度も無かった。 ゆっくりの食料となる花や、移動するのが遅い虫が豊富に存在するため、奪い合いをする必要が無いのだ。 だから、この餌場は2つの家族の交流の場でもあった。 「れいむ!!まりさとどっちがたくさんごはんをとれるか、きょうそうしようよ!!」 「ゆ?いいよ!!れいむまけないよ!!!」 母同士の仲がいいので、必然的に子供同士の仲もよくなる。 集める食料の量を競ったり、協力して食料を集めたりして、仲睦まじくゆっくりしている。 太陽がちょうど空の真上に昇った頃になると、母まりさは子まりさたちを集合させた。 「みんな!!ゆっくりあつまってね!!そろそろおうちにかえるよ!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」 各々が集めた食料を口に含んだまま、子まりさたちは器用に跳ねて母まりさの周りに集まってくる。 「ゆゆ?もういっちゃうの?もっとゆっくりすればいいのに!!」 「まりさー!!もっとゆっくりしようよ!!!」 残念そうな声をあげるれいむ一家。 れいむ一家の誘いは魅力的だったが、母まりさはそれを丁重に断った。 「ごめんね!!でも、まりさたちはごはんをはこばなくちゃいけないんだよ!!!」 集めた食料を放っておくわけにはいかない。 生きている虫などは逃げてしまうし、草花だって風に飛ばされてしまうからだ。 まりさ一家は、とてもゆっくりしているれいむ一家を羨ましく思いながら、れいむ一家に別れを告げた。 そして、まりさ一家は再び一列に並んで、食料を口に含んだまま巣へと戻っていった。 比較的平坦な道を経て、餌場から巣へと戻ってきたまりさ一家。 母まりさは、迅速に貯蔵庫へと食料を移すべく、子まりさたちに指示を出す。 「ゆ!!“ちょぞうこ”にごはんをはこんでね!!ゆっくりでいいからね!!」 母まりさの指示に従って、子まりさたちは一匹ずつ巣の中へ入っていき、奥の貯蔵庫へと進んでいく。 その様子を、母まりさは真剣な目でじっと見つめている。子供がバランスを崩して転んだとき、すぐ助けるためだ。 「ゆっしょ!!ゆっしょ!!」 「ゆっくりはこぶよ!!」 母まりさの心配をよそに、子まりさたちは順調に食料を運んでいく。 ふと、母まりさの気が抜けた時だった。 最後の子まりさが、巣の中へ入っていく……その直前。 ブワアアァァァァァァ!!!! 突風である。 植物型妊娠であれば赤ちゃんが持ち去られてしまうぐらいの、強烈な風だった。 母まりさは、本能で危険を察知した。このまま外にいてはいけない、と。 「ゆっくりしないでなかにはいってね!!!」 「ゆっ!?ゆうううう!!??」 巣の外にいた唯一の子まりさを、有無を言わさず巣の中へ押し込んでいく母まりさ。 子まりさは訳が分からないという表情で、されるがままにしていがのだが……突然、頭の上の重みが無くなった。 「……ゆっ?」 空を見上げると、ひらひら飛んでいく一つの黒い物体が見えた。 その物体は綺麗に尖がっていて、白いリボンがついている。紛れも無い、子まりさの帽子だった。 「ゆっ!?ゆがああああああああ!!!まりさのぼうしがあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 母まりさの身体を横から押しのけ、必死に帽子を追いかける子まりさ。 口の中の食べ物を全て吐き出し、身体を軽くした上で帽子の飛ぶ方向へと駆けていく。 “帽子がないとゆっくりできない”―――この世に生まれて、母まりさから最初に教わったことだった。 「ゆっくりしてね!!!まりさのぼうしゆっくりしてよ゛お゛お゛おおお!!!」 子まりさの呼びかけに応じることは無く、帽子は風に乗ってどんどん遠くへと飛んでいく。 終いには、木々の上を飛び越えていって……完全に視界から消えうせてしまった。 「ゆがああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!までぃじゃのぼうじがああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!」 「ゆっ!!いまおそとにでたらあぶないよ!!!ゆっくりおうちのなかにはいってね!!!」 帽子を失ったことで狂乱している子まりさを、母まりさは引きずるようにして巣の中に引っ張り込む。 その様子を巣の中から終始見ていた他の子まりさたちは、複雑な表情で2匹の周りを囲んだ。 「ゆぅ……かわいそうだよ…」 「ぼうしがないとゆっくりできないの…?」 「ま、まりさ……ゆっくりしていってね?」 自分達がどうすれば、帽子を失った子まりさは元気を取り戻すのか。 いい考えが浮かばないので、ただ同情の視線を向けるだけだ。 「まりざのぼうじ!!!さがしにいぐのお゛お゛おお゛お!!!お゛がーじゃんゆっぐじはな゛じでね゛え゛え゛ぇぇえ゛ぇぇぇぇ!!!!」 「ゆっ!!だめだよ!!!いまおそとにでたら、まりさもゆっくりとばされちゃうよ!!」 吹き荒ぶ風の勢いは尋常ではなかった。 今、何の準備も無く外に出れば、子ゆっくりなど簡単に飛ばされてしまう。 母まりさの身体なら耐えられるだろうが、その頭上にある帽子はそうはいかない。 だから、待つことしか出来なかった。泣き叫ぶ子まりさを押さえつけて、風が止むのを待つことしか出来なかった。 10分後、風が止んだので母まりさが帽子を捜しにいく。 だがゆっくり1匹で捜せる範囲などたかが知れており、当然ながら帽子を見つけることは出来なかった。 「ゆ゛わ゛あ゛あ゛あああぁぁぁぁぁあん!!!まりざのぼうじがあ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁあぁぁぁ!!!!」 子まりさは叫んだ。ひたすら叫んだ。 そして、叫び続けるのに疲れたのか、目に涙を浮かべながら巣の奥へと引っ込んで眠ってしまった。 訪れた静寂の中で、互いの顔を見合わせる子まりさたちと母まりさ。 「ゆっ……あしたはみんなでゆっくりしようね!!!」 「ゆ、ゆゆ!!そうだね!!たくさんゆっくりしようね!!!」 「ゆっくり!!ゆっくりしようね!!!」 残された15匹の家族は不安げな表情で確かめ合うように、ひたすら“ゆっくり”という言葉を連呼した。 翌朝。 全員が目を覚ますと、いつものように朝食をとる。 帽子なし子まりさも含めて、家族16匹で岩のテーブルを囲んだ。 「「「ゆっくりいただきます!!!」」」 がつがつと食べ物を食べ散らかしていく子まりさたち。 昨日泣きたいだけ泣いて落ち着いたのか、帽子のない子まりさもご飯を食べるのに夢中になっている。 そんな子まりさを、母まりさの巨体がぐいっと押した。 「ゆ?まりさはごはんをたべてるんだよ!!ゆっくりじゃましないでね!!」 食事の邪魔をされたことで、不機嫌になる帽子なし子まりさ。 だが、母まりさは食事中の子まりさをそのまま巣の奥へと押し込んだ。 「ぼうしのないまりさがだれかにみられたら、みんながゆっくりできなくなっちゃうよ!! だからまりさは、おくのほうでごはんをたべてね!!」 「ゆっ?ゆゆゆゆゆ!?」 母まりさは、帽子なし子まりさを巣の一番奥―――貯蔵庫のすぐ傍に無理やり連れて行った。 帽子のない“ゆっくりできない”まりさを匿っていると知られたら、家族全員が“ゆっくりできないもの”として迫害されてしまう。 それを恐れた母まりさは、帽子のないまりさを外から見えないところへ押し込むことにしたのだ。 「ゆぅ…かわいそうだよ…」「しかたないよ!まりさたちがゆっくりするためだよ!」 そんな様子を最初こそ悲しげな目で見ていた子まりさたちだったが、なんだかんだと理由をつけて視線を目の前の食べ物に戻す。 終いには、帽子なしまりさの存在すら忘れて、食べ物の美味しさに心を奪われて食事に没頭し始めた。 食卓から遠く離れたところに引っ張られて、食べ物を口に含んだまま呆然としている帽子なし子まりさ。 しばらくすると、母まりさが子まりさの分の食べ物を持ってきて、床の上にばら撒いた。 「ごめんね!!ぼうしのないまりさは、ここでゆっくりしててね!!!」 「ゆっ!?どうして!?まりさもみんなといっしょにむーしゃむーしゃしたいよ!!」 「そんなことしたらみんながゆっくりできなくなっちゃうよ!!ゆっくりりかいしてね!!!」 それだけ言い残して、母まりさは他の子まりさの待つ食卓へと戻っていった。 一匹取り残された子まりさからは、土の壁が邪魔になって食卓の様子が見えない。 しかし、時折聞こえてくる姉妹の笑い声から、皆がとてもゆっくりしていることは簡単に把握できた。 「ゆぅん!まりさもみんなといっしょにゆっくりしたいよ!!!」 帽子なしまりさの声には、誰も反応してくれない。 自分だけ仲間はずれにされたような疎外感を感じた子まりさだったが、渋々床の上に散らばったご飯を食べ始める。 「……むーしゃむーしゃ…それなりー」 いつもはとても美味しいご飯も、一人ぼっちでは全然美味しくない。 帽子のない子まりさは、ただ空腹を満たすだけのためにご飯を食べ続けた。 食事を終えた一家は、巣の中でゆっくりしていた。 餌の貯蓄が1週間分残っているので、今日は思う存分ゆっくりすることができる。 幸せなひと時を過ごしている一家のもとへ、ちょうどいいタイミングでれいむ一家が訪れた。 「ゆっ!!まりさ!!ゆっくりきたよ!!」 「まりさ!!いっしょにゆっくりしようね!!」 「ゆゆっ?れいむ!!ゆっくりまってね!!」 母れいむと12匹の子れいむの声が、巣の外から聞こえてくる。 子まりさたちは子れいむたちとゆっくりするべく、勢い良く巣の外へ飛び出していく。 帽子のない子まりさも一目散に外へと跳ねていくが……その行く手は、母まりさによって遮られた。 「ゆっ!?じゃましないでね!!まりさもれいむたちとゆっくりするよ!!」 「ばかいわないでね!!おまえがれいむたちにみつかったら、まりさたちみんなゆっくりできなくなるよ!!!」 母まりさは本気で怒っていた。 さっきも言ったのにもう忘れたのか、と子供の間抜けっぷりに呆れているようにも見えた。 その様子を、巣の出入り口の陰から覗いている他の子まりさたち。 「ゆーん…ぼうしがないとゆっくりできないんだね!」 「そうだね!!ぼうしがないこはゆっくりできないよ!!あんなのほうっておいて、ゆっくりしようね!!」 子まりさたちは、言いたいことを言って広場へと跳ねていく。 その後姿を追いかけようとする帽子なしまりさだが、母親の巨体に阻まれてしまった。 「ゆっ…まりさもゆっくりしたいよ!!ゆっくりさせて―――― 「ゆっくりりかいしてね!!まりさはおうちでおるすばんだよ!!!」 帽子なし子まりさを巣の奥へ押し込んだ後、母まりさも浮かれた表情で巣の外へ跳ねていった。 ずりずり岩陰まで這いずって、外の様子をこっそり窺う帽子なしまりさ。 広場からは、大勢のゆっくりの楽しそうな声が聞こえてくる。 「ゆーん♪くすぐったいよ♪ゆっくりやめてね!」 「ゆゆっ!!くやしかったら、ゆっくりおいかけてきてね!!」 「ゆふふ~ん……ゆっくりぃ~…」 「おそらがとてもゆっくりしているね~…くもさんもぷかぷかゆっくりしているね~」 母親や姉妹、そして友達のれいむたち。みんなすごくゆっくりしている。 ゆっくりしていないのは……帽子のない、子まりさだけだ。 「ゆ゛っぐ……ゆわ゛あ゛あ゛ぁぁ……ゆっぐりしたい゛よ゛お゛お゛お゛お゛…!!」 ただひとり、巣の奥で、誰にも聞こえないように。 帽子のないまりさは、孤独を紛らわすために泣いた。 夕方。外でゆっくりしていた姉妹と母まりさが帰ってきた。 「ゆぅ~♪とてもゆっくりできたね!!」 「あしたもれいむとゆっくりしたいよ!!」 「そうだね!あしたはれいむのおうちにいこうね!!」 帽子なし子まりさは、家族の和気藹々とした会話に引き寄せられるように、巣の広間に顔を出した。 いつもなら、そろそろ夕飯の時間である。ずっとひとりで泣いていた帽子なしまりさは、とてもお腹を空かせていた。 「ゆっ!!そろそろごはんのじかんだね!!おかーさんはごはんをよういしてね!!」 「………」 帽子なし子まりさの呼びかけに、母まりさは反応しない。 無表情。何の感情も篭っていない視線で、帽子なし子まりさを見つめるだけだ。 母まりさだけではない。他の子まりさたちの視線も、どこか棘があって……ゆっくりできない。 「ゆっ!?むししないで――― 「おなかすいたよ!!!ゆっくりごはんをよういしてね!!!」 「ゆゆ!そうだね!おかーさんがごはんをもってきてあげるね!!みんなはゆっくりまっててね!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」 他の姉妹の求めにはあっさり応じた母まりさは、貯蔵庫に向かって子供たちの食料を運んでくる。 15匹分の食べ物をテーブルの上に並べるのも、母まりさの仕事だ。 「「「ゆっくりいただきまーす!!!」」」 「ゆっくりおたべなさい!!」 目の前に用意された食べ物に、勢い良く噛り付く子供たち。 しかし帽子なしまりさは、周りの姉妹に用意されたものと自分のものとの違いに気づいた。 「ゆゆっ!?まりさのだけすくないよ!!もっとちょうだいね!!」 帽子なし子まりさの分だけ、少なく配分されていたのだ。 普段から公平に扱われてきた姉妹の一員として、帽子なし子まりさは不足分を要求するが…… 「うるさいよ!!ぼうしのないこは、それでじゅうぶんだよ!!!」 「ゆっ!?どうしてそんなこというのぉ!?」 帽子なし子まりさは、帽子がないために外で狩りをする事が出来ない。 狩りができない子はその分食べる量も減らすべきだ、というのが母まりさの考えだ。 「ゆっ!!おねーちゃんたち!!いもうとたち!!まりさにごはんをわけてね!!!」 母まりさから不足分をもらうのを諦めた帽子なしまりさは、姉妹から分けてもらうことにした。 しかし、14匹の姉妹の反応はとても冷たいものだった。 「ゆ?これはまりさのぶんだよ!!ゆっくりあげないよ!!」 「おねーちゃんはじぶんのぶんをたべてね!!」 「ぼうしがないくせに、なまいきだよ!!」 「ゆっ!?いじわるしないでねぇ!!!まりさにもたくさんちょうだいねっ!!!」 どんなに呼びかけても、姉妹たちは帽子なしまりさに食べ物を分けようとはしない。 帽子なしまりさが14匹の姉妹に要求して回っているうちに、全部食べ終えてしまった。 「ゆ~ん♪おいしかったよ!!」「とてもゆっくりできるごちそうだったよ!!」 「よかったね!!たくさんゆっくりしていってね!!!」 母まりさも満足顔だ。満腹で元気いっぱいの子供たちは、母まりさの周りに集まってゆっくりし始める。 帽子なしまりさは諦めて、ひとりぼっちでテーブルに向かって食事を再開した。 「ゆぐぅぅぅぅ……むーしゃむーしゃ…ふしあわせー…」 そのご飯はいつもの半分以下の量。 あっという間に食べ終えてしまった帽子なしまりさは、一家の輪に加わることなく巣の隅っこにうずくまった。 夜。巣の外は暗闇に包まれ、ゆっくりたちは一日の活動を終える。 藁を敷き詰めた寝床の上に母まりさが飛び乗ると、子まりさたちも続々とその後を追って寝床に飛び上がる。 「ゆ~ん!ゆっくりねむろうね!!」 「ゆっ!!みんな!!おかーさんのまわりにゆっくりあつまってね!!」 寝床の中央に鎮座する母まりさの周囲を、14匹の子まりさが取り囲む。 帽子なしまりさもそれに続いて、藁の寝床へとダイビングした。 「ゆゆーん!!まりさもゆっくりねむるよ!!」 しかし、帽子なしまりさが寝床に着地する直前―――― 「ゆっくりこっちにこないでねっ!!!」 周囲の子まりさたちのタックルが炸裂した。 こてっこてっとバウンドして、テーブルに衝突してやっと止まる帽子なし子まりさ。 ちょうど額をテーブルの縁にぶつけてしまい、「ゆごごおおおお」と悶え苦しみながら転がりまわる。 「ぼうしのないやつは、そっちでひとりでねむってね!!!」 「おまえがいると、まりさたちがゆっくりできなくなるよ!!!」 「ぼうしがないなんて、おぉみじめみじめ」 「ゆっぐぅぅぅ……どぼぢでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!??」 昨日までとても仲のよかった姉妹がそんな言葉を口にするなんて、信じられなかった。 心と身体の痛みに咽びながら、這いずるようにして再度寝床へと向かう。 「ゆっぐぅりぃ……ゆっぐっ…みんなとゆっぐり゛ぃ…ね゛む゛る゛よ゛ぉ……!!」 ゆっくりと寝床へ近づいてくる帽子なしまりさに、他の子まりさは罵倒の嵐を浴びせる。 その言葉の一つ一つが帽子なしまりさの心を傷つけ、歩み進む力を削いでいく。 「ゆっくりこっちにこないでね!!おまえがいたらゆっくりできないよ!!」 「ぼうしがないやつは、ぜんぜんゆっくりできないね!!まりさたちはとてもゆっくりできるのにね!!」 「ゆっくりしたいの!?ぼうしがないくせに、ゆっくりできるわけないでしょ!!」 「きっと、ゆっくりできないからぼうしをなくしちゃったんだね!!おぉぶざまぶざま」 「まりさたちはおかーさんとねむるよ!!おまえはひとりでさびしくねむってね!!」 弱りきった心。それを何とか奮い立たせつつ、帽子なしまりさは寝床にたどり着いた。 ぐっと顔を上げると、目の前に立っているのは母まりさ。周りの子まりさを押しのけて、帽子なしまりさを見下ろしている。 「ゆ゛っ!!おかーさんっ!!!」 まりさは涙を流した。うれし涙だった。 姉妹は自分を“帽子のないゆっくり出来ない子”として仲間外れにするが、母親は違ったのだ。 お母さんが自分を受け入れて、一緒にゆっくり眠ってくれる。そうすれば、周りの姉妹だって逆らわないだろう。 涙を振り払って、笑顔で母まりさを見上げた。やっぱり、自分はゆっくり出来るんだ。ゆっくりさせてもらえるんだ。 そんな期待が正しいと信じて。間違っているとはこれっぽっちも疑わず。 帽子なしまりさは、力を振り絞って母まりさに飛び込んだ。 「ゆっくりね゛むろう゛ね゛ぇ!!!」 その期待が、打ち破られるとも知らずに。 「うるさいよっ!!!!」 ドスンッ!!! 「びぎゅあぁっ!?!?」 母まりさの巨体が生み出す攻撃力は、子まりさたちの比ではなかった。 弾丸のような勢いで巣の壁に叩きつけられ、そのまま跳ね返って寝床のところまで戻ってくる。 その威力に耐え切れなかった帽子なしまりさは、ゆげぇゆげぇと体内の餡子を吐き出した。 「おまえがいたらこどもたちがゆっくりできないよ!!おまえはすみっこでねむってね!!!」 それだけ言い残すと、藁の中に潜り込む。子まりさたちも後に続いて、母まりさの周囲に潜り込んだ。 「ゆっ!?……ゆ゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!??」 その瞬間、帽子なしまりさの思考が停止した。 唯一の味方であると思っていた、母まりさにも拒絶されたから。 悲しみだけがまりさの心を支配し、際限なく涙を流し続ける。心の傷を癒すために。 “帽子をなくしたらゆっくり出来ない” その意味を、帽子なしまりさは正確には理解していなかった。 髪飾りがないと、個体識別されないこと。 “ゆっくり出来ない異端者”として集団から弾き出されるということ。 それらを知っていたら、家族たちの行動の理由も少しは理解できたかもしれない。 でも、まりさは運がよかった。 家族の目の前で帽子を失くしたために、一家全員がまりさをまりさと認識した。 まりさに多少は同情し、帽子なしまりさを弾き出そうとする家族は1匹もいなかった。 しかし残念なことに、それも最初だけだった。日常生活を送っていくうちに、一家は違和感を感じ始めたのだ。 いつもよりゆっくりできない気がする。昨日はもっとゆっくりできたのに、今日はあまりゆっくりできない。 その原因が帽子なしまりさにあると自覚したときから、一家の振る舞いは少しずつ変わり始め…… 「ゆっくりできないやつは、そっちでねむってね!!!」 「まりさたちはおかーさんとすやすやするからね!!!」 「ぼうしがないなんて、おぉあわれあわれ」 今では、この有様である。 「どうして…どうしてまりさだけゆっくりできないの?」 全ての始まりは、昨日の事件。突風に帽子を飛ばされて、失くしてしまったことから始まった。 そう、全ては帽子。帽子がないからゆっくり出来ない。逆に言えば、姉妹たちは帽子があるからゆっくりできる。 ゆっくりできるかどうか、その分かれ目は……帽子の存在だ。 自分だけ帽子がないから、自分だけがゆっくりできない。 じゃあ、みんな帽子がなかったらどうだろう? みんなゆっくりできないのだろうか?……きっと違う。 みんな帽子がなければ、みんな同じ。みんな同じだから、みんなでゆっくりできる。 そうだ。みんな帽子がなければ、まりさも仲間はずれにされない。みんなと一緒にゆっくりできるんだ。 「ゆっくり……みんなぼうしがなければ、みんなでゆっくりできる…」 帽子なしまりさは夜中、誰も起こさないように静かに行動を開始した。 翌朝。 一家の朝は、1匹の子まりさの目覚めから始まる。 1匹が放つ「ゆっくりしていってね!!!」は他の子供たちに波及し、最終的に母まりさを目覚めさせるのだ。 だが、今朝はちょっと様子が違っていた。 「ゆゆぅ…ゆっくりしていっt――――ゆっ!?まりさのぼうしがないよぉ!?!」 最初に目覚めた子まりさは、頭の違和感に気づいた。 あるべきものがない。昨夜まであったものが、目覚めたら消えている。 そんな叫びに呼び起こされた他の子まりさも、自らの頭上の異変を次々に感知していく。 「ゆゆっ!?まりざのぼうじどごいっだのぉ!?」 「ゆわあぁぁぁぁ!!!まりざもぼうしがないよ!!!」 「どうじでええぇぇぇぇぇぇぇ!?ぼうしがないとゆっくりでぎないよおおおぉぉぉ!?」 見渡してみれば、母まりさを除く一家全員が帽子を失くしていた。 最後に、寝床の中央にいる母まりさが目を覚ます。 「ゆゆ……ゆっくりしていってね!!!」 「「「おがーざあああぁぁぁぁん!!!」」」 起きたばかりの母親に、泣きつく子供たち。 お母さんならきっと自分の帽子を見つけてくれるだろう、と思っているのだ。 だが、その期待はことごとく裏切られた。 「ゆゆっ!?ぼうしのないこがいるよ!?しらないこはゆっくりでていってね!!」 当然のことだった。母まりさは眠っている間、子供たちが帽子を失うその瞬間を見ていない。 したがって、母まりさは自分の子供を自分の子供だと認識できないのだ。 たった1匹、風に飛ばされて帽子を失ったまりさを除いて。 「ゆぅ!?どうしてそんなごどいうのおぉ!?」「まりざはおがーさんのがわいいごどもだよ!?」 「そうだよ!!!まりざたちのぼうしをゆっくりさがしてね!!!」 一方子供達は、母親側にそんな事情があるなどとは露知らず、お構いなしに詰め寄る。 自分はお母さんの可愛い子供なのだから、お母さんが絶対に何とかしてくれる。 たった今拒絶されたばかりなのに、まだ縋っているのだ。 「ゆぅ!?へんなことをいわないでね!!!ゆっくりしないででていってねっ!!!」 聞き分けのない部外者を、母まりさは排除し始める。 手始めに、一番近くにいた3匹の子まりさを、巨体を活かした体当たりで勢い良く弾き飛ばした。 「ゆびゅげっ!?」「うびっ!?」「ぼあっ!?」 巣の内壁に叩きつけられ、噴水のように餡子を吐き出す3匹。 頭頂部を強く打ったものは、餡子脳に強い打撃を受けて気絶してしまった。 それを目の当たりにした残りの子まりさたちは、一斉に母まりさを罵倒する。 「ゆがあぁあぁぁああぁぁぁぁ!!!まりざのいぼうどになにずるのおおおぉぉぉおおぉぉ!?」 「おねーちゃんがいたがってるよ!!ゆっくりしないであやまってね!!!」 「こんなのおがーざんじゃないよ!!!ゆっくりしんでね!!!」 「うるさいよ!!!まりさたちのおうちからゆっくりしないででていってね!!!」 子まりさたちの言葉の攻撃は、結果として火に油を注ぐ形となってしまった。 母まりさは怒りを込めてぷくっと膨らみ、威嚇のポーズをとる。 ゆっくり以外の生物ならなんともない威嚇方法だが、ゆっくり同士―――それも、小さいゆっくり相手なら効果は抜群だ。 「ゆわああああぁあぁぁぁあぁ!!!ごっぢごないでねぇ!!!まりざはゆっぐりじだいよぉ!!!」 「いやあああぁああぁ!!!ゆっぐじさせでねええぇえぇえぇえ!!!」 「まりさたちゆっぐりしでただげなのにいいいいぃぃぃいいぃぃ!!!!」 巣の中を縦横無尽に逃げ回る子まりさたち。 だが、狭い巣の中では逃げられる範囲も限られる。 あっという間に母まりさに追いつかれ、その巨体に潰されて命を散らしていく。 「びぎっ!?」 水風船のように破裂する子まりさ。 「うぼああぁぁっ!?!?」 口を目から餡子を吹き出し、皮だけになる子まりさ。 「げぼおおおぉぉぉ!!??」 下手に逃げたために、顔面だけが潰されて悶え苦しむ子まりさ。 「ゆっくりしないででていってね!!!ここはまりさたちのおうちだよ!!」 自分の子供を手にかけていることも知らず、次々に“侵入者”をやっつけていく母まりさ。 その周りには、子まりさたちの残骸が次々に飛び散っていく。 8匹の子まりさが殺されたところで、残りの子まりさたちが次々と巣の出口から飛び出していった。 「ゆわあぁぁああぁぁん!!!こんなところじゃゆっぐりでぎないよおおおぉぉぉ!!!」 「おがーぢゃん!!どぼぢでゆっぐじさせでぐれないのおおおぉぉぉおぉ!!??」 「きのうまでゆっくりできたのにいいいっぃぃいいぃ!!!」 その疑問には、誰も答えない。 母親に殺された姉妹の死体を残して、生き残った子まりさたちは死に物狂いで逃げていった。帽子のない状態で。 決して振り返らない。振り返ったら最後、悪魔に変わってしまった母親に殺されてしまう気がしたから。 「ゆぅ~!!やっとゆっくりできるよ!!みんなでゆっくりしよう…ね……?」 邪魔者をやっつけるのに夢中になっていた母まりさは、落ち着いて周囲を見回して始めて気づいた。 巣の中に、子供が1匹も残っていないことに。静まり返った巣の中に、自分1匹しか残っていないことに。 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅう゛う゛ぅぅぅ!?!まりさのこどもどこにい゛っ゛たの゛お゛お゛お゛ぉお゛お゛お゛ぉぉ!!??」 母まりさは巣の端から端まで、跳ね回りながら探していく。 巣の出入り口から広間、そして貯蔵庫に至るまで探していく。 そして見つけた。貯蔵庫の入り口にいた、帽子のない子まりさ。風に飛ばされて帽子を失った、子まりさを。 その瞬間、母まりさは大きなため息をつく。よりによってこいつか、と。 「ゆっぐ……ゆっぎゅうううぅぅぅぅ……!!!」 子まりさは泣いていた。 自分が姉妹の帽子をとって隠したばかりに、こんな酷いことになってしまったから。 みんな帽子がなければ一緒にゆっくり出来るという浅はかな考えが、悲劇を生んでしまったから。 自分はただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おがーざああぁぁぁぁん!!!う゛わ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁぁぁあぁぁん!!!」 子まりさは、真実を言い出せなかった。 それを言えば、自分のせいで他の子たちがゆっくり出来なくなったことが母まりさに知れてしまう。 そうなったらもう終わり。二度とゆっくり出来なくさせられてしまうだろう。 それが怖くて、何も言えなかった。泣くことしかできなかった。 「うるさいよ!!!ゆっくりなきやんでね!!!」 「びゅえっ!!??」 どすんと子まりさを突き飛ばす母まりさ。 貯蔵庫に突き飛ばされた子まりさは、顔面から餌の山に突っ込んだ。 「どうしておまえがいるの!? ゆっくりできるこどもたちのかわりに、おまえがいなくなればよかったのに!!!」 それだけ言い残して、母まりさは巣の外に出て子供たちの帰りを待ち始める。 その表情は、本当に子供を心配している母親の顔。子供たちの事が心配でしかたない、という顔だ。 しかし、その表情を帽子なしまりさに向けることはない。 「ゆっ……ゆっぐぅ……う゛わ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁあああぁん!!!」 貯蔵庫の中に取り残された帽子なしまりさは、再び泣き始めた。 誰も理解し得ない、後悔と悲しみの涙を流しながら。 それから。 母まりさと帽子なし子まりさは、2匹で暮らし続けた。 相変わらずのゆっくり出来ない日々。 満足な食事を与えられず、日中は一人で留守番。 母親にすりすりすることも、草原を自由に駆け回ることも、帽子なしまりさにとっては夢のまた夢。 「ゆううぅぅうぅ……ゆっぐじじだいよおおおおぉぉぉ……!!!!」 「ぼうしがないくせに、ゆっくりできるわけないでしょ!!!やっぱりぼうしのないやつはばかなんだね!!!」 姉妹を犠牲にして手に入れたもの。 それは、母と2人っきりの、全然ゆっくりできない生活。 「おかーさんはこどもたちをさがしてくるよ!!おまえはおるすばんだよ!!!ぜったいにそとにでないでね!!!」 子まりさに留守番を言いつけ、母まりさは毎日毎日、行方不明の子供たちを捜しにいく。 何日経っても、何週間経っても、無事を信じて捜しにいく。 そのうちの8匹を、自分が殺してしまったとも知らずに…… 「ゆっ…ゆっくりおるすばんするよ……」 今日も、帽子なし子まりさは空腹に苦しみながら、巣の奥から外の様子を覗き見る。 留守番の間、ずっとそうしている。かつて自由に駆け回った、広大な草原を思い浮かべながら。 かつて共にゆっくりした、友達のれいむたちの笑顔を思い出しながら。 そして、自分のせいでゆっくりできなくなってしまった姉妹たちが、いつか帰ってくることを願いながら。 その度に、罪悪感で胸が痛むが……それを打ち明ける相手は、まりさにはいない。 まりさは、ひとりで母の帰りを待つ。毎日毎日待ち続ける。 いつか母親と真の意味でゆっくり出来る日々が来ると、強く信じて。 帽子のない子まりさのゆっくり出来ない日々は……まだ、始まったばかりだ。 (終) あとがき 家族の目の前で帽子を失って、個体認識できる状態で生活を始めたらどうなるんだろう? そんな疑問をもとに書いてみました。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/987.html
里から少し離れた池沿いに歩いていると、ゆっくりの家族を発見した。 親はまりさとれいむのつがい、子供はまりさ1匹にれいむ2匹、計3匹の赤ちゃんだ。 赤ちゃんといっても、いわゆるピンポン玉程度のサイズで、赤ちゃんを外に 慣れさせ水の怖さを教えるために連れ出したのだろう。 赤ちゃん3匹は池の前に並んで舌で水を舐めており、その後ろに親が並んで見守っている。 「ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!」」 声を掛け、定番の挨拶をすると赤ちゃんは無警戒な顔で、 親は若干警戒した顔でこちらを見る。 「いまあかちゃんにみずをおしえてるところだから、 じゃましないでね!ゆっくりできないならどっかいってね」 「はいはい、ゆっくり邪魔しないよ」 と言いながら早速赤ちゃんまりさを手に取り、親の後ろ側に移動させる。 家族の中で一番池から離れている位置である。 「ゆ?ゆ?」 場所を移された赤ちゃんも他の家族も、掴んだ子供を愛でるでもなく虐待するでもなく 『ただ場所を変える』と言う謎の行動に呆気にとられている。 そこで池の方を指差し、 「あっ!?」 と何かを見つけたかのように叫んだ。家族全員が指刺した方を見つめ、 池から一番離れている赤ちゃんまりさを見ているものが居なくなる。一人を除いて。 その隙に、素早く赤ちゃんまりさを回収し加工所袋に放り込む。 ゆっくりを強制的にゆっくりさせるとか言う便利アイテムだ。 しばらく指差した方向を見ていたが何も発見出来なかった親まりさは振り返り 「どうしたの?なにもないよ?」 と呆れたように生意気な顔を向けるが、赤ちゃんまりさが居なくなった事に 気づく様子はない。中々に間抜けである。 赤ちゃんが居なくなった事を教えて意地悪してあげてもいいが、 今日は赤ちゃんまりさがメインである。 早速他のゆっくりに退場してもらう為に、こちらを向いている親まりさの側頭部と 未だに池の方を眺めている親れいむの後頭部をがっしりと掴み、 えいやっと池に放り投げてやる。 「ゆゆ゛っ!?」 と声を上げたのもつかの間、親ゆっくりは2匹とも勢い良く池に落ちる。 まりさの帽子だけは投げる速度について来れず、池の手前にぱさりと落ちた。 着水の勢いがよかった為、助けを求める声を上げることも出来ず、 沈んで行く2匹から気泡が勢い良く上がる。 急な出来事に唖然としていた赤ちゃんれいむ2匹もはっとしたように騒ぎ出した。 「おがあちゃんぎゃぁぁ!」 「にゃんで!?にゃんでぇー!?」 慌てながらしきりに池に向かって叫ぶ一方で、投げ込んだ人間を責めるような事は 思いつきもしないのだろう。やはり純真な赤ちゃんはかわいい。 かわいいのでこちらは丁寧に扱ってあげる事にする。 おかあしゃんおかあしゃんと騒ぎ続けるれいむを2匹とも掴み上げ、 横に落ちていた親まりさの帽子も取り上げて逆さまに持つ。 「ゆっ?にゃにしゅるの?はにゃしてね!」 嫌がって暴れる赤ちゃん2匹を親の帽子のつばに乗せ、池の水面にそっと帽子を浮かべた。 赤ちゃんにとっては親の帽子は非常に大きいので、帽子の真ん中には乗せず へりの部分の対角線上に1匹ずつ乗せてバランスを取っている状態だ。 先ほどまで水の怖さを教えられていた赤ちゃんにとって、 急に水の上に浮かべられるのは恐怖なのだろう。 「ゆ!たしゅけてね!しょっちにちゅれていってね!」 と可愛くお願いしてくるが、そっと帽子を沖に向けて押してあげる。 「ゆっくりクルージングを楽しんでね!」 非常にゆっくりとしたスピードではあるが、だんだんと岸から離れていく帽子に 赤ちゃんゆっくりはパニックに陥る。 「みゃぁぁ!たしゅけてね!たじゅけてね!」 と2匹とも帽子のへりの、岸に近い方にずりずりと移動する。さすがに飛び跳ねるのは怖いか。 だが重心が帽子の片方に寄った事で、赤ちゃんのいる側が少し沈んでしまう。 「にゃ!にゃんで!?にゃんでぇぇ!?」 赤ちゃんの餡子脳ではそれが重心のせいだと気付く事も出来ず、また大量の水に対する 恐怖心から、一歩もそこから動く事の出来ない赤ちゃんはだんだんと水に浸されて行き… 「「たちゅボボッ」」 2匹とも仲良く池に落ちてしまった。 これで攫った赤ちゃんまりさを追って来るゆっくりもいまい。 連れて帰った赤ちゃんまりさを、加工場袋から透明なケースに移し変える。 行動を抑制するサイズぴったりの箱ではなく、飼育に用いる水槽タイプである。 直前まで強制的にゆっくりさせる袋に入っていたまりさは、 「ゆ?きょきょどこ?おかあしゃんはぢょこ?」 とキョロキョロしている。袋の外で家族みんなが池の底にダイブした事は 全く判らないようだ。 「ゆっくり聞いてね、お母さん達はね、れみりゃに襲われて ゆっくり出来なくなっちゃったんだよ」 親かられみりゃの事は聞いていたのだろうか、赤ちゃんは顔を青くする。 「それでね、まりさの事をゆっくりさせて欲しいって お母さんとお父さんに頼まれたから、まりさをここに、連れて来たんだよ」 「ちゃんとここでゆっくりすれば、お母さんの所に帰れるからね」 出来るだけやさしくゆっくり教えてあげると、赤ちゃんでも理解できたのか、 「ゆぅ…わかっちゃよ、ここでゆっきゅりしゅるにぇ!」 お母さんの事が心配で元気は無さそうだが、この状況を受け入れる事は出来たようだ。 「よし、それじゃ記念撮影しよう」 「ゆ?」 自分でもびっくりするくらい脈絡が無い。だが今の姿は撮っておかなくては。 『記念撮影』が何の事かわからない赤ちゃんにカメラを向け、 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしちぇいっちぇね!」 パシャリ。とお決まりの挨拶で注意を逸らした所でシャッターを下ろす。 間を置かずカメラの底部からジー、と音を立ててフィルムが出てくる。 (この位置から出てくるとにんっしんっ!したゆっくりの出産を思い出すなぁ) と憎たらしい顔でにんっしんっしたまりさが脳裏に浮かぶが本筋はそこではない。 今撮影に使ったのはインスタントカメラで、暗室の設備がなくても現像が可能なのだ。 「なにしちゃの?そりぇゆっきゅりできるもの?」 と聞いてくる赤ちゃんに、早速画像が現れた写真をみせてあげる。 「ほら、これがまりさちゃんだよ」 「ゆ?ゆ?ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 写真に写ったゆっくりを別人だと思ったのだろう、丁寧に挨拶をしている。 ちょっとごめんね、と赤ちゃんの帽子を取り、写真と並べて見せる。 「ほら、まりさちゃんと同じ帽子被ってるでしょ、 この写真はね、まりさちゃんを描いた絵みたいなものだよ」 「ゆ!ほんとにおなじおぼうしだね!しゃしんしゃんってすごいね!」 写真の帽子を見ても自分の帽子と同じか認識出来ると確認出来たので、本題に入るとする。 「それでね、この帽子はれみりゃに襲われたときに ちょっと傷が出来ちゃったんだ」 「ゆ?そうにゃの?」 「だから、直すまでの間ちょっと預からせてね?直したら返すから」 とありもしない傷の話をすると、「わかっちゃよ、ゆっきゅりなおしてね」と了承する。 母親が自分を預けた人間なら大丈夫、と信頼を寄せてくれているのだろう。 こうして帽子の無い赤ちゃんまりさの世話を、2週間ほどしてあげた。 食事もくず野菜程度だが野生で生まれたゆっくりには十分だ。 なるべく元気に成長するように、たまにオレンジジュースもかけてあげる。 すると成体と呼ぶにはまだ小さいが、ソフトボール大よりやや大きいくらいの 元気なまりさに成長した。 その間ずっと帽子は預かりっぱなしだったが、赤ちゃんの頃からすぐ育て始めたのと 周りに他のゆっくりが居なかったので、本人も帽子が無いこと自体忘れてしまっていた。 「元気にそだったね、まりさはすごくゆっくりしているよ!」 「ありがとう!ここはすごくゆっくりできるよ!」 そうだろうそうだろう。 「それじゃまりさ、これだけ元気になったなら、 もうお母さんとお父さんの所に帰れるね」 「! みんなにあえるの?」 もう暫く会っていなかったのだ、会いたい気持ちも強くなっているだろう。 最初の頃は夜泣きしてたものなぁ。 でもお母さんも他の家族も池の水に溶けちゃってるなぁ。 「それじゃ、帽子が無いままだといけないから、直した帽子を返すね」 「ゆゆっ!そういえばぼうしをなおしてもらってたね! ゆっくりかえしてね!」 と急かすまりさにジャーン、と預かっていた帽子を見せてあげる。 「…?それちいさいよ?かたちはにてるけど、まりさのぼうしじゃないよ?」 「うーん、でもこれがまりさから預かった帽子なんだよ」 と、育成初日に撮った記念写真と取り出して、横に並べて見せる。 「ほら、同じ帽子でしょ?まりさが成長して大きくなったから 帽子だけ小さく見えるんだよ」 「ゆゆ…ほんとだ、おんなじぼうしだね…」 本来ならまりさ種は体の成長と共に、帽子も体に合わせて大きくなる。 だが赤ちゃんの頃から帽子と離して成長させたこのまりさは、 体がソフトボールサイズ程になっても帽子だけ赤ちゃんサイズなのだった。 「でもおとうさんのぼうしはおおきかったのに、なんで…」 赤ちゃんの頃からすぐにここに連れてこられたとは言え、親まりさなどの 成長して大きくなった帽子を見てきたこのまりさにとって、 自分の帽子だけ小さいままなのは釈然としない所があるのだろう。 でもまりさのお帽子はこれだけでーす☆と言いたいが我慢して、 「まあ、この帽子しかないから、嫌だったら帽子を被らないで 群れに帰るしかないなぁ」 とこの帽子以外に選択肢が無い事をやさしく伝えてあげる。 「ゆ!ぼうしがないとゆっくりできないよ、 そのぼうしでがまんするね」 しぶしぶ小さい帽子を、ちょこんと頭に乗せるまりさ。 アンバランスだが新鮮な可愛さがある。 「よし、それじゃお母さんもお父さんも待ってるだろうから さっそく森に連れて行ってあげよう」 「おねがいするね、いままでごはんありがとう」 小さい帽子が恥ずかしいのか、ちょっとギクシャクしているが お礼が出来るなんていいゆっくりじゃないか。 そんなまりさを透明な飼育ケースに入れたまま森まで持って行く。 群れの位置から少し離れたところで、まりさを箱からだしてあげた。 「それじゃ、群れに人間が入るとみんなびっくりしちゃうから、 ここでお別れだよ、家族と元気でね!」 「ゆ!ありがとう!ゆっくりしていってね!」 群れに戻ってこれた事で帽子の恥ずかしさも忘れ、 ぴょんぴょんと群れに跳ねて行くまりさ。 もちろん里には帰らずに、ここから双眼鏡で様子を見ますとも。 居るはずの無い家族を探して跳ねて行くと、子ゆっくりサイズの れいむ、まりさ、ありすの定番トリオと遭遇する。 家族とは違うが群れのゆっくりに会えた事でうれしくなったまりさが 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていって…ね?」 元気に挨拶をするが子ゆっくり3匹の様子が不思議な表情をしている。 「ゆ?」 「あなたどうしたの?そんなあかちゃんみたいなぼうしかぶって」 「まりさのぼうしとは、くらべものにならないくらいちいさいんだぜ?」 忘れていた。自分の帽子は赤ちゃんサイズだったんだ。 帽子の事を指摘され、恥ずかしさから顔を赤く染めるまりさ。 その表情がゆっくりの性悪な部分に火をつけていく。 「こんなあかちゃんみたいなぼうしのゆっくりとはゆっくりできないよ」 「あかちゃんはあかちゃんどうし、なかよくゆっくりするんだぜ!」 近くに都合よく、別の赤ちゃんゆっくりが居たのを良い事に、 群れのまりさにその赤ちゃんゆっくり達の方向に突き飛ばされる。 この赤ちゃんゆっくりはまりさ種2匹で、近くに母親と見られるれいむも居る。 「ゆゆっ!」 「にゃにこのおねーちゃん?」 「まりちゃたちとおんなじくらいのおぼうしだね!」 「ゆゆゆっ…」 「おねーちゃんもあかちゃんにゃの?」 「いっちょにゆっくりちまちょー」 親しげな赤ちゃんまりさとは裏腹に、母親れいむの視線は白く突き刺さる。 子ゆっくりサイズなのに赤ちゃんサイズの帽子を被ったまりさの姿は、 加齢臭が漂うのに少女趣味な服で着飾る、痛い人のように移っているのだろう。 恥ずかしさに耐えられなくなったまりさは、つい走って逃げ出してしまった。 「「あかちゃんまりさちゃん、どこいくのー?」」 里の定番トリオからの野次で、もう何も考えられなくなる。 ここから逃げ出したい。この格好で家族に会ったらどう思われるだろうか。 前も見ずに一目散に走っていると、急にやわらかいものとぶつかった。 「ゆべっ!」 目を白黒させながら確認すると、そこには成体ほどの大きなありす。 菩薩のようにやさしい笑みを浮かべて帽子の事を笑う様子もない。 「ゆゆっ、ごめんなさい」 「いいのよ、どうしたのあなた?そんなおぼうしかぶって」 ここでも指摘されるのか。またまりさの頬は紅潮するが、 ありすに馬鹿にする様な笑いが無く、口調もやさしいので どこかお母さんのような暖かさを感じた…が 「まるであかちゃんのような、ちいさくてかわいいおぼうし…さそってるのかしら?」 と言うやありすの目にギラギラした光が現れだした。 「!?!?」 「かわいいまりさ!かわいいまりさ!あかちゃんのようにかわいがってほしいのね! いいわ、わたしとすっきりしましょぉ───ッ♥♥♥」 「ゆ゛ゆ゛ぅっ!?やめ゛でぇぇぇ!」 ありすは幼いゆっくりに欲情するHENTAIだったようだ。 まだ子ゆっくり程度のサイズであるまりさが迫られては、 もはや妊娠に耐えられず朽ちてしまうだろう。 まりさは群れで待っているはずの家族との再開を夢見ながら、 劣情に猛るHENTAIありすに押し倒されるのだった。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) お帽子の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/762.html
里から少し離れた池沿いに歩いていると、ゆっくりの家族を発見した。 親はまりさとれいむのつがい、子供はまりさ1匹にれいむ2匹、計3匹の赤ちゃんだ。 赤ちゃんといっても、いわゆるピンポン玉程度のサイズで、赤ちゃんを外に 慣れさせ水の怖さを教えるために連れ出したのだろう。 赤ちゃん3匹は池の前に並んで舌で水を舐めており、その後ろに親が並んで見守っている。 「ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!」」 声を掛け、定番の挨拶をすると赤ちゃんは無警戒な顔で、 親は若干警戒した顔でこちらを見る。 「いまあかちゃんにみずをおしえてるところだから、 じゃましないでね!ゆっくりできないならどっかいってね」 「はいはい、ゆっくり邪魔しないよ」 と言いながら早速赤ちゃんまりさを手に取り、親の後ろ側に移動させる。 家族の中で一番池から離れている位置である。 「ゆ?ゆ?」 場所を移された赤ちゃんも他の家族も、掴んだ子供を愛でるでもなく虐待するでもなく 『ただ場所を変える』と言う謎の行動に呆気にとられている。 そこで池の方を指差し、 「あっ!?」 と何かを見つけたかのように叫んだ。家族全員が指刺した方を見つめ、 池から一番離れている赤ちゃんまりさを見ているものが居なくなる。一人を除いて。 その隙に、素早く赤ちゃんまりさを回収し加工所袋に放り込む。 ゆっくりを強制的にゆっくりさせるとか言う便利アイテムだ。 しばらく指差した方向を見ていたが何も発見出来なかった親まりさは振り返り 「どうしたの?なにもないよ?」 と呆れたように生意気な顔を向けるが、赤ちゃんまりさが居なくなった事に 気づく様子はない。中々に間抜けである。 赤ちゃんが居なくなった事を教えて意地悪してあげてもいいが、 今日は赤ちゃんまりさがメインである。 早速他のゆっくりに退場してもらう為に、こちらを向いている親まりさの側頭部と 未だに池の方を眺めている親れいむの後頭部をがっしりと掴み、 えいやっと池に放り投げてやる。 「ゆゆ゛っ!?」 と声を上げたのもつかの間、親ゆっくりは2匹とも勢い良く池に落ちる。 まりさの帽子だけは投げる速度について来れず、池の手前にぱさりと落ちた。 着水の勢いがよかった為、助けを求める声を上げることも出来ず、 沈んで行く2匹から気泡が勢い良く上がる。 急な出来事に唖然としていた赤ちゃんれいむ2匹もはっとしたように騒ぎ出した。 「おがあちゃんぎゃぁぁ!」 「にゃんで!?にゃんでぇー!?」 慌てながらしきりに池に向かって叫ぶ一方で、投げ込んだ人間を責めるような事は 思いつきもしないのだろう。やはり純真な赤ちゃんはかわいい。 かわいいのでこちらは丁寧に扱ってあげる事にする。 おかあしゃんおかあしゃんと騒ぎ続けるれいむを2匹とも掴み上げ、 横に落ちていた親まりさの帽子も取り上げて逆さまに持つ。 「ゆっ?にゃにしゅるの?はにゃしてね!」 嫌がって暴れる赤ちゃん2匹を親の帽子のつばに乗せ、池の水面にそっと帽子を浮かべた。 赤ちゃんにとっては親の帽子は非常に大きいので、帽子の真ん中には乗せず へりの部分の対角線上に1匹ずつ乗せてバランスを取っている状態だ。 先ほどまで水の怖さを教えられていた赤ちゃんにとって、 急に水の上に浮かべられるのは恐怖なのだろう。 「ゆ!たしゅけてね!しょっちにちゅれていってね!」 と可愛くお願いしてくるが、そっと帽子を沖に向けて押してあげる。 「ゆっくりクルージングを楽しんでね!」 非常にゆっくりとしたスピードではあるが、だんだんと岸から離れていく帽子に 赤ちゃんゆっくりはパニックに陥る。 「みゃぁぁ!たしゅけてね!たじゅけてね!」 と2匹とも帽子のへりの、岸に近い方にずりずりと移動する。さすがに飛び跳ねるのは怖いか。 だが重心が帽子の片方に寄った事で、赤ちゃんのいる側が少し沈んでしまう。 「にゃ!にゃんで!?にゃんでぇぇ!?」 赤ちゃんの餡子脳ではそれが重心のせいだと気付く事も出来ず、また大量の水に対する 恐怖心から、一歩もそこから動く事の出来ない赤ちゃんはだんだんと水に浸されて行き… 「「たちゅボボッ」」 2匹とも仲良く池に落ちてしまった。 これで攫った赤ちゃんまりさを追って来るゆっくりもいまい。 連れて帰った赤ちゃんまりさを、加工場袋から透明なケースに移し変える。 行動を抑制するサイズぴったりの箱ではなく、飼育に用いる水槽タイプである。 直前まで強制的にゆっくりさせる袋に入っていたまりさは、 「ゆ?きょきょどこ?おかあしゃんはぢょこ?」 とキョロキョロしている。袋の外で家族みんなが池の底にダイブした事は 全く判らないようだ。 「ゆっくり聞いてね、お母さん達はね、れみりゃに襲われて ゆっくり出来なくなっちゃったんだよ」 親かられみりゃの事は聞いていたのだろうか、赤ちゃんは顔を青くする。 「それでね、まりさの事をゆっくりさせて欲しいって お母さんとお父さんに頼まれたから、まりさをここに、連れて来たんだよ」 「ちゃんとここでゆっくりすれば、お母さんの所に帰れるからね」 出来るだけやさしくゆっくり教えてあげると、赤ちゃんでも理解できたのか、 「ゆぅ…わかっちゃよ、ここでゆっきゅりしゅるにぇ!」 お母さんの事が心配で元気は無さそうだが、この状況を受け入れる事は出来たようだ。 「よし、それじゃ記念撮影しよう」 「ゆ?」 自分でもびっくりするくらい脈絡が無い。だが今の姿は撮っておかなくては。 『記念撮影』が何の事かわからない赤ちゃんにカメラを向け、 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしちぇいっちぇね!」 パシャリ。とお決まりの挨拶で注意を逸らした所でシャッターを下ろす。 間を置かずカメラの底部からジー、と音を立ててフィルムが出てくる。 (この位置から出てくるとにんっしんっ!したゆっくりの出産を思い出すなぁ) と憎たらしい顔でにんっしんっしたまりさが脳裏に浮かぶが本筋はそこではない。 今撮影に使ったのはインスタントカメラで、暗室の設備がなくても現像が可能なのだ。 「なにしちゃの?そりぇゆっきゅりできるもの?」 と聞いてくる赤ちゃんに、早速画像が現れた写真をみせてあげる。 「ほら、これがまりさちゃんだよ」 「ゆ?ゆ?ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 写真に写ったゆっくりを別人だと思ったのだろう、丁寧に挨拶をしている。 ちょっとごめんね、と赤ちゃんの帽子を取り、写真と並べて見せる。 「ほら、まりさちゃんと同じ帽子被ってるでしょ、 この写真はね、まりさちゃんを描いた絵みたいなものだよ」 「ゆ!ほんとにおなじおぼうしだね!しゃしんしゃんってすごいね!」 写真の帽子を見ても自分の帽子と同じか認識出来ると確認出来たので、本題に入るとする。 「それでね、この帽子はれみりゃに襲われたときに ちょっと傷が出来ちゃったんだ」 「ゆ?そうにゃの?」 「だから、直すまでの間ちょっと預からせてね?直したら返すから」 とありもしない傷の話をすると、「わかっちゃよ、ゆっきゅりなおしてね」と了承する。 母親が自分を預けた人間なら大丈夫、と信頼を寄せてくれているのだろう。 こうして帽子の無い赤ちゃんまりさの世話を、2週間ほどしてあげた。 食事もくず野菜程度だが野生で生まれたゆっくりには十分だ。 なるべく元気に成長するように、たまにオレンジジュースもかけてあげる。 すると成体と呼ぶにはまだ小さいが、ソフトボール大よりやや大きいくらいの 元気なまりさに成長した。 その間ずっと帽子は預かりっぱなしだったが、赤ちゃんの頃からすぐ育て始めたのと 周りに他のゆっくりが居なかったので、本人も帽子が無いこと自体忘れてしまっていた。 「元気にそだったね、まりさはすごくゆっくりしているよ!」 「ありがとう!ここはすごくゆっくりできるよ!」 そうだろうそうだろう。 「それじゃまりさ、これだけ元気になったなら、 もうお母さんとお父さんの所に帰れるね」 「! みんなにあえるの?」 もう暫く会っていなかったのだ、会いたい気持ちも強くなっているだろう。 最初の頃は夜泣きしてたものなぁ。 でもお母さんも他の家族も池の水に溶けちゃってるなぁ。 「それじゃ、帽子が無いままだといけないから、直した帽子を返すね」 「ゆゆっ!そういえばぼうしをなおしてもらってたね! ゆっくりかえしてね!」 と急かすまりさにジャーン、と預かっていた帽子を見せてあげる。 「…?それちいさいよ?かたちはにてるけど、まりさのぼうしじゃないよ?」 「うーん、でもこれがまりさから預かった帽子なんだよ」 と、育成初日に撮った記念写真と取り出して、横に並べて見せる。 「ほら、同じ帽子でしょ?まりさが成長して大きくなったから 帽子だけ小さく見えるんだよ」 「ゆゆ…ほんとだ、おんなじぼうしだね…」 本来ならまりさ種は体の成長と共に、帽子も体に合わせて大きくなる。 だが赤ちゃんの頃から帽子と離して成長させたこのまりさは、 体がソフトボールサイズ程になっても帽子だけ赤ちゃんサイズなのだった。 「でもおとうさんのぼうしはおおきかったのに、なんで…」 赤ちゃんの頃からすぐにここに連れてこられたとは言え、親まりさなどの 成長して大きくなった帽子を見てきたこのまりさにとって、 自分の帽子だけ小さいままなのは釈然としない所があるのだろう。 でもまりさのお帽子はこれだけでーす☆と言いたいが我慢して、 「まあ、この帽子しかないから、嫌だったら帽子を被らないで 群れに帰るしかないなぁ」 とこの帽子以外に選択肢が無い事をやさしく伝えてあげる。 「ゆ!ぼうしがないとゆっくりできないよ、 そのぼうしでがまんするね」 しぶしぶ小さい帽子を、ちょこんと頭に乗せるまりさ。 アンバランスだが新鮮な可愛さがある。 「よし、それじゃお母さんもお父さんも待ってるだろうから さっそく森に連れて行ってあげよう」 「おねがいするね、いままでごはんありがとう」 小さい帽子が恥ずかしいのか、ちょっとギクシャクしているが お礼が出来るなんていいゆっくりじゃないか。 そんなまりさを透明な飼育ケースに入れたまま森まで持って行く。 群れの位置から少し離れたところで、まりさを箱からだしてあげた。 「それじゃ、群れに人間が入るとみんなびっくりしちゃうから、 ここでお別れだよ、家族と元気でね!」 「ゆ!ありがとう!ゆっくりしていってね!」 群れに戻ってこれた事で帽子の恥ずかしさも忘れ、 ぴょんぴょんと群れに跳ねて行くまりさ。 もちろん里には帰らずに、ここから双眼鏡で様子を見ますとも。 居るはずの無い家族を探して跳ねて行くと、子ゆっくりサイズの れいむ、まりさ、ありすの定番トリオと遭遇する。 家族とは違うが群れのゆっくりに会えた事でうれしくなったまりさが 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていって…ね?」 元気に挨拶をするが子ゆっくり3匹の様子が不思議な表情をしている。 「ゆ?」 「あなたどうしたの?そんなあかちゃんみたいなぼうしかぶって」 「まりさのぼうしとは、くらべものにならないくらいちいさいんだぜ?」 忘れていた。自分の帽子は赤ちゃんサイズだったんだ。 帽子の事を指摘され、恥ずかしさから顔を赤く染めるまりさ。 その表情がゆっくりの性悪な部分に火をつけていく。 「こんなあかちゃんみたいなぼうしのゆっくりとはゆっくりできないよ」 「あかちゃんはあかちゃんどうし、なかよくゆっくりするんだぜ!」 近くに都合よく、別の赤ちゃんゆっくりが居たのを良い事に、 群れのまりさにその赤ちゃんゆっくり達の方向に突き飛ばされる。 この赤ちゃんゆっくりはまりさ種2匹で、近くに母親と見られるれいむも居る。 「ゆゆっ!」 「にゃにこのおねーちゃん?」 「まりちゃたちとおんなじくらいのおぼうしだね!」 「ゆゆゆっ…」 「おねーちゃんもあかちゃんにゃの?」 「いっちょにゆっくりちまちょー」 親しげな赤ちゃんまりさとは裏腹に、母親れいむの視線は白く突き刺さる。 子ゆっくりサイズなのに赤ちゃんサイズの帽子を被ったまりさの姿は、 加齢臭が漂うのに少女趣味な服で着飾る、痛い人のように移っているのだろう。 恥ずかしさに耐えられなくなったまりさは、つい走って逃げ出してしまった。 「「あかちゃんまりさちゃん、どこいくのー?」」 里の定番トリオからの野次で、もう何も考えられなくなる。 ここから逃げ出したい。この格好で家族に会ったらどう思われるだろうか。 前も見ずに一目散に走っていると、急にやわらかいものとぶつかった。 「ゆべっ!」 目を白黒させながら確認すると、そこには成体ほどの大きなありす。 菩薩のようにやさしい笑みを浮かべて帽子の事を笑う様子もない。 「ゆゆっ、ごめんなさい」 「いいのよ、どうしたのあなた?そんなおぼうしかぶって」 ここでも指摘されるのか。またまりさの頬は紅潮するが、 ありすに馬鹿にする様な笑いが無く、口調もやさしいので どこかお母さんのような暖かさを感じた…が 「まるであかちゃんのような、ちいさくてかわいいおぼうし…さそってるのかしら?」 と言うやありすの目にギラギラした光が現れだした。 「!?!?」 「かわいいまりさ!かわいいまりさ!あかちゃんのようにかわいがってほしいのね! いいわ、わたしとすっきりしましょぉ───ッ♥♥♥」 「ゆ゛ゆ゛ぅっ!?やめ゛でぇぇぇ!」 ありすは幼いゆっくりに欲情するHENTAIだったようだ。 まだ子ゆっくり程度のサイズであるまりさが迫られては、 もはや妊娠に耐えられず朽ちてしまうだろう。 まりさは群れで待っているはずの家族との再開を夢見ながら、 劣情に猛るHENTAIありすに押し倒されるのだった。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/mheroes/pages/960.html
グレムリン帽子 [#n56b0bff] 入手方法 [#w30a4979] 装備画像 [#w372a5dd] コメント [#tda09a8d] グレムリン帽子 アイコン 名称 Lv 部位 種類 重量 Def 力 敏捷 知能 意志 生命 抵抗 attachref グレムリン帽子 59 ヘルム 服 1 167 10 10 10 - 9 - 種族:リシタ,フィオナ,イヴィ スキルランク: 重量:1 入手方法 ・魔族前線基地クエスト「見つかる前に」クリア ・限定パッケージ[ペット熱情パッケージ] ・限定パッケージ[ペット友情パッケージ] 装備画像 リシタ フィオナ イヴィ attachref attachref attachref フリー フリー attachref attachref コメント 取引不可 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nyankoro/pages/62.html
図鑑 No. 釣れる場所 釣れる時間帯 値段にゃん 主な釣りエサ 釣れるもの 効果にゃんころの頭に装備させるアイテムとして使用可 釣りエサに使用可
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/678.html
年賀イベントで茶店娘から貰える。 性能は茶店娘に話し掛ける前に装備していた 頭装備とまったく同じ性能になる(ただし補正は冠扱いのため、妖術耐性−10、物理耐性−10に固定となり、元の装備とは異なる値になる)。 12月28日のメンテナンスと同時に消える。